SIGMA 30mm F1.4 DC HSM
このレンズはAPS-C専用レンズで、35mm換算すると45mm*1か48mm*2となり、ほぼ換算50mmとなります。巷でよく言う50mm標準レンズのうちの一つがAPS-Cだとこのレンズです。それではこの「SIGMA 30mm F1.4 DC HSM」をレビューしていきます!
先に結論としては
- あまり寄れない
- 止まってるものか、遅いものを撮るのに良い
- 前ピン注意
- めっちゃボケる
- 開放だと周辺減光がすごい
- 開放だとフリンジがすごいこともある
- 絞ればかなりシャープ
となってます。
スペックやAFのレビュー
外観
外観はマット調でかっこいいですね。私が持っているのはCanon用なのでKiss X7に装着してみました。kiss X7だと重量のバランスが悪い気がしますが、そこまで問題は無いです。一般的なAPS-C一眼レフならまず重量のバランスは問題は無いでしょう。
スペック
レンズ構成枚数 8群9枚 画角 (DC) 50.7° 絞り羽根枚数 9枚 (円形絞り) 最小絞り F16 最短撮影距離 30cm 最大撮影倍率 1:7 フィルターサイズ φ62㎜ 最大径 × 長さ φ74.2㎜ × 63.3㎜ 質量 435g
こんな具合になっています。注意点としては最短撮影距離*3が30cm、最大撮影倍率*4が1:7(=0.143倍)となっており、キットレンズに比べあまり寄れず大きく写すのも苦手となっています。なので寄れて大きく写せるレンズを探している方には向かないので注意です。反対にAPS-Cの標準域で明るい大口径レンズを探している方にはピッタリとなります。
AFについて
AFはそこそこ速いです。体感としてはCanonのEF-S24mmF2.8といい勝負だと思います。ただし時々AFが迷ったり、動体を追えなかったりすることがあるので、動く被写体を撮るのにはあまり向かないかもしれません。またAFの音はあまりしませんが、動画撮影時には気になるかと思います。このレンズは静止または低速の被写体に使うのが最適となります。
前ピン傾向について
このレンズは出荷時に前ピン*5の可能性があるようで、私が購入したレンズも前ピン気味でした。前ピンの場合はSIGMAさんに「保証書、使用している一眼レフ、本レンズ」共に送ってピント調整をして貰う必要があります。私もピント調節に送ったので2週間ほど一眼レフが使えない状況になりました。他のレビューを読んでも、このレンズが前ピンとなっている可能性は他のレンズより高そうです。
このようにこのレンズを買うとピント調整に出さなければならないこともあるので注意が必要です。
作例を交えたレビュー
いくらスペックを語ろうとも、結局はレンズを通して得られる絵が全てです。このレンズを検討されてる方は開放でボケた写真を求めていると思いますので、開放付近の作例を多めに用意しました。撮影は全てkiss X7で行い、ピクチャースタイルがスタンダードの撮って出しです。
開放では圧倒的ボケと周辺減光
先ずは開放での作例を上げます。以下では、写真をクリックすれば大きい画像が見られます。
やはりF1.4は圧倒的にボケます。1,2,3枚目みたいに被写体と多少距離があっても背景がボケるので、被写体との奥行きを感じることができます。もちろん4,5枚目みたいに被写体に近づけば、それはもうありえないくらいボケます。ボケすぎて5枚目みたいに背景がもはや分からないこともあります笑 キットレンズだと被写体と距離があるとあまりボケないので、このボケには感動しました!
また、開放だと周辺減光がもの凄く強くなります。個人的に周辺減光はとっても好きですし、RAWならソフトウェアで除去できるので問題ありませんが、撮って出しメインの方は注意です。F2.8くらいまで絞れば周辺減光は気にならなくなります。
加えて、開放だとピント面でも甘い描写になります。上記の作例は結構シャープに写ったのですが、後述するフリンジの影響などで、めちゃくちゃ甘いピント面になることもあります。SIGMAといえば開放からキレッキレのイメージが強いですが、このレンズは開放が少し甘いです。
開放だとたまにフリンジが凄い
上記の例ではあまり気になりませんが、開放だとたまにフリンジが凄いことになります。今回は用意することができなかったので、今までの作品からフリンジが凄いものをどうぞ(次の作例はRAW現像しています)
いずれも桜の時期に撮ったものですが、1枚目は桜に夕日があたっている部分に大きなパープルフリンジが、2枚目は全体的に桜にパープルフリンジが発生、3枚目も花びらにフリンジが出ています。これらの作例はフリンジのおかげで桜がピンクに見えているのでありっちゃありですが、基本は無いほうが良いですよね。
このように開放だと派手にフリンジが出る場合があるので注意です。白っぽい被写体や、コントラストが高いとき、細い被写体の輪郭などにフリンジが発生しやすいです。とはいえ記載した条件を避ければそこまでひどいフリンジは出ないので、使いようです。もし出てしまったらソフトウェアで除去するか、いっそのことフリンジを作品にするかです。
絞ればシャープ
あのSIGMAさんのレンズですので、絞ればキレッキレになります。体感としてはF4あたりまで絞ればキレッキレのシャープな絵になると感じています。上から順にF1.4, F2.8, F4で撮り比べて見ました。
小さい画像だとわかり使いですが、拡大すればシャープさがよく分かります。F1.4だと猫の毛先が少し潰れてますが、F2.8で大分改善され、F4では毛の1本1本が写っています。絞ったときのシャープさは流石SIGMAさんです。
やはりSIGMAさんのレンズですので、絞ればとてもシャープな絵になります。開放は少し柔らか、絞ればキレキレのシャープさというがこのレンズの特徴となっています。
まとめ
まとめると次のようになります。
- 近くに寄って、大きく写すのは苦手
- AFはそこそこ。止まっているか遅いものを撮るのには十分
- 前ピンの場合があるので注意
- 開放だととてもボケて感動する
- 開放だと周辺減光がすごい
- 開放だとフリンジがとても出ることがある
- 絞ればSIGMAらしいキレッキレのシャープさ
お手頃価格でボケを味わえるレンズを探している場合、この「SIGMA 30mm F1.4 DC HSM」はとてもおすすめです。何より、APS-C用で換算50mmの明るいレンズはこのレンズか他の35mmレンズくらいです。その中で、そこそこの価格と開放F1.4を両立しているこのレンズは素晴らしいです。
本来は6Dmark2を買ったのでこのレンズを含めたAPS-C用レンズを売るつもりでいたのですが、このレンズは売らずに取っておきたくなります笑 そのくらいオススメのレンズです。
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