スマホに搭載される複数のレンズ
最近のスマホカメラには複数のレンズが搭載されています。基本の1倍レンズ、約2倍の望遠レンズ、約0.5倍の広角レンズあたりですね。
これらのレンズの焦点距離は35mm換算(フルサイズ一眼の画角を基準とした表記法)でそれぞれ、28mm、50mm、16mmぐらいとなってます。例として最近発売されたiPhone11Proだと26mm、52mm、13mmとなってます。
標準的な画角
スマートフォンのカメラでは、1倍のレンズとして28mmは広く採用されています。それゆえ、写真にあまり詳しくない人がイメージする、標準的な画角は焦点距離28mm程度の画角になるのではないでしょうか。
実際に、スマホでは焦点距離28mmの画角を「1倍」や「標準」と呼んでおり、焦点距離50mmは「望遠」と呼んでいます。
写真の世界では焦点距離50mmは「標準レンズ」であって、「望遠レンズ」ではありません。ですがスマホメーカーは「望遠レンズ」として売っています。
これは「標準レンズ」を焦点距離28mmと捉えているからではないでしょうか。
「標準レンズ」の意味が変化するのか?
そもそも「標準レンズ」とは何でしょうか。
標準レンズはなぜ焦点距離50mmなのか
一般的に焦点距離50mmが標準レンズと言われています。理由をWikipediaより引用すると、
定義は無い、定義すること自体が不可能であるとも言える。写真を撮る一般大衆等にとっての「標準」か、写真家など写真の専門家にとっての「標準」か、カメラの専門家にとっての「標準」か、というような違いもある。
主な考え方を以下に挙げるが、おおざっぱに言って、歴史的・慣例的な理由を重視したものや、光学的理由を重視したものがある。なお、しばしば「人間の視界に類似」といったような論拠が挙げられることが多いが、生理学的に(解剖学的に)それなりに確定的なことが言える眼球の特性についてならばともかく、脳の働きを含む「視覚」についてはそうはっきりとは言えたものではない。
とあり、代表的な説には以下の4つがありました。
単なる慣習に過ぎないという説、肉眼の視野に近いとする説、対角線長に基づくとする説、レンズ特性による説
この「単なる慣習に過ぎないという説」を詳しく見てみると
最も有力。第二次世界大戦前から1950年代の頃までの、135フィルムを利用する小型高級レンジファインダーカメラの双璧であったライカとコンタックスにおいて、デファクトスタンダードであった標準レンズである50mm前後を標準であると主張するもの。
とのことです。ここで、最も有力とされる「単なる慣習に過ぎないという説」を採用すると考えると、標準レンズの意味が変化してもおかしくないと気づきます。
現代のデファクトスタンダードは焦点距離28mm前後?
先程の説では、当時多く使われていたカメラの焦点距離が50mmだから標準レンズになったとのことでした。
現代で一番使われているカメラは何でしょうか。それはほぼ間違えなくスマートフォンのカメラです。そのスマホのカメラで1倍ズームとして考えられているのが焦点距離28mmです。
ということは、一番使われているカメラの焦点距離28mmが標準レンズとして認識されてもおかしくは無いですね。
これからの標準レンズは焦点距離28mmのレンズになるかもしれません。
まとめ
スマホメーカーが焦点距離50mmを「望遠レンズ」と呼ぶのには非常に違和感を感じました。しかしそれは裏を返すと焦点距離50mmが「標準レンズ」では無くなってきていることを示しているのかもしれません。
これからの時代は焦点距離28mmが「標準レンズ」になるのでしょうか。
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